パソコン廃棄後の行方と注意点 ●

 今の時代、仕事をする上で欠かせないパソコン。日進月歩の技術革新によって、4〜5年前に買ったパソコンはもう旧型扱い、そろそろ新しいパソコンに買い換えたい……そう思っている方も多いのではないでしょうか。
 当然、古いパソコンは廃棄処分することになりますが、手元を離れたパソコンの行く末を考えたことはありますか?
 今回はパソコン廃棄後の行方と、廃棄するにあたって気をつけなくてはならないことをご紹介いたします。

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 ● 廃棄の方法 ●

 パソコンを処分するタイミングは様々。リース期間が終了した・新しいパソコンを買ったので古い分は必要なくなった・故障したものを処分してしまいたい……等々。
 ここで気をつけていただきたいのは、そのパソコンがリース物件かどうかということ。リース物件は、リース期間が終了した時点で、リース会社が引き取りにきます。基本的に独自で廃棄処分することはできません。リース期間中に処分したい場合、解約処理なども必要になります。
 リースではない買取分のパソコンは産業廃棄物として、業者に依頼して引き取ってもらうことになります。(通常は有料)

 ● 廃棄後の行方 ●

 昨年4月より「資源の有効な利用の促進に関する法律」、通称「PCリサイクル法」が施行されました。これにより、各パソコンメーカーには、業務用の使用済みパソコンについての回収・リサイクルの義務が生じました。
 ユーザーは回収に関しては上記の通り、リース会社の指示に従ったり、正規の廃棄業者に依頼していれば特に問題はありません。
 リサイクルに関しても、メーカー側が取り組みます。
 日本アイ・ビー・エムの場合は、製品の設計段階から環境やリサイクルに配慮した開発を行っています。例えば、製品を長期間使っていただけるように(=廃棄物を減らすように)ハードディスクやメモリーの大容量化を図ったり、マニュアルをCD-ROM化したりすることも、その一環です。
 廃棄されたパソコンに関しては、まだ十分使えるものであれば中古として再利用されます。(ThinkPadは耐久性に優れているので、中古でも人気商品だということです!) 中古として使えなくても、問題のない部品は再整備用品として再利用されます。
 更に、筐体に使われていたプラスチックやガラスなどは、資源として再利用されていきます。プラスチックや紙・木・ゴムなどは熱源としての再利用までされるようです。これもリサイクルの一環なのです。

 ● 再利用の落とし穴? ●

 こうして、有効に再利用されていくパソコンですが、ユーザー側が気をつけなければならないこともあります。中古品や部品の再利用は環境面を考えると歓迎すべきことですが「データの再利用」をされてしまっては、たまりません。
 部品の中には、もちろんハードディスクも含まれます。もし、大事なデータが保管されたままのハードディスクが再利用されてしまい、悪意ある他人の目にとまってしまったら……大変なことになってしまいますね。メールアドレスが登録されているアドレス帳などが流出した場合、プライバシーの侵害にもなりかねません。
 実際、パソコンが故障してハードディスクの交換を行ったら、何故か見も知らぬEXCELのデータが別区画に保存されていた……ということがあったそうです。中古品(部品)はきちんと初期化して提供されることが慣例となっていますが、こういったこともあるのですね。

 ● 削除・フォーマットは完璧? ●

 データ流出を防ぐ自衛策として我々が最低限しなくてはならないことは、パソコンの廃棄前には必ずデータを削除するということです。メールなどのユーザーデータがどこに保存されているかは、2001年8月号の「万が一に備えよう」をご参照ください。
 Windows95/98/ME系のOSの場合、起動ディスクでパソコンを起動し、FDISKコマンドを使って、ハードディスクの区画(CドライブやDドライブ)を削除してしまう方法もあります。
 でも実は、これらは本当に「最低限」の方法なのです。ファイルを削除しても、フォーマットをしても、その気になればデータは復元できてしまうのです!

 ● 完全にデータを消す方法 ●

 削除してしまったファイルやフォーマットしてしまったドライブは、確かに目には見えなくなります。しかし、削除やフォーマットで消されるものは、それらのデータが保管されている位置情報だけで、実はデータ本体はディスク上に残っているのです。本に例えるなら、目次や索引のページだけを破いた感じでしょうか。
 そして、そうして消されてしまったファイルを復旧させるためのソフトウェアもあるのです。もちろんこれは、「うっかり消してしまったファイル」を助けるために存在しているツールですが、逆に考えると、こうしたツールを使えば、簡単に「消したはずのファイル」の復旧ができることになります。

 では、どうすれば完全にデータを削除できるのでしょう。
 答えは「ハードディスク全体を別のデータで上書きする」です。上書きしてしまえば、以前のデータは完全に読めなくなります。
 これは専用のソフトウェアを使うことによって実現できます。もちろん、こういったソフトを使って消去(上書き)したデータは、復元ツールを使っても元には戻せません。
データ抹消ソフトは各ソフトウェアメーカーから、1ライセンス1000円前後で販売されています。インターネットの各種検索ページから「データ抹消」「データ消去」といった単語で検索すると、数種類のソフトウェアが検索されるかと思うので、詳細はそちらからご確認ください。

 

 「発つ鳥跡を濁さず」という言葉にもある通り、お世話になったパソコンを処分する際には、データの消去もお忘れなく!

 

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